2019年上半期の印象深い5冊まとめてみた
今年は昨年に比べてかなり読書量が減っています。
音楽を聞いたり映画を観る時間が増えたためだと解釈していますが、
最近、他にも大きな原因があると最近気づきました。
意外にも、図書館利用です。
昨年度、小学生以来初めて図書館で本を借りるという行為をしました。
今まで有料で読んでいた本が無料化され、
「これはすごすぎるサービスだ」と思っていました。
さまざまな本を思うがままに取り寄せることができて、
複数の本を同時に読めるということで、
革命的な読書習慣の変化が起きたと思っていました。
2、3年前に読書メーターを始めて、そのときは記録をすることと、
複数の本を同時に読み進めることで読書量が格段に増えて、
そのときに次ぐ読書量の増加を期待しました。
しかし、今までは月に10冊読むのが普通でしたが、
ここ数ヶ月は月に5冊ぐらいのペースに落ちています。
これは、きっと一冊の本を大切に読み進める気持ちが減っているのではないかと思いました。
結局、お金を出したからこその緊張感や責任感はやっぱりあるなあと気づいたこの頃です。
彼は「本は買って読むべきだ」という論を僕が中学生ぐらいのころに出された本で展開していて、今になって、一周してその意味がちょっとわかるなあという感じです。
ということで、分母は少ないですが、今年の上半期のベスト5冊も備忘録として記録しておきたいと思います。
FUCTFULLNESS
https://www.amazon.co.jp/FACTFULNESS-ファクトフルネス-10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣-ハンス・ロスリング/dp/4822289605
ここ数年の読書体験で最もおもしろかったです。
ある種興奮しながら読み進めました。
僕たちは世界を悲観的に見すぎているということがよくわかります。
もちろん、まだまだ世界には課題がたくさんあるけれど、
当然、よくなっていることもある。
旅人のたかのてるこさんの講演で、以前「人類がこれだけ長い間大きな戦争をしていない時代はない。世の中はどんどん悪くなっているという人もいるけれど、そんなことはないんじゃないか」という問いを発していて、僕もそれに賛同していたし、
何十年も前に忌野清志郎は「なぜ悲しいニュースばかりテレビは言い続ける」と歌っていて、確かになあとずっと思っていた。
そんな人生の問いに真摯に答えてくれたのが、このFUCTFULLNESSだったような気がする。
データと人間の習性から、客観性をもった情報で、
世界はどんな状況なのかを教えてくれたように思う。
世界情勢だけでなく、生きていく中でも、
客観性のあるデータを用い、謙虚な姿勢でものごとを捉えていくことは非常に大事で、
感情的なイメージだけで人を判断するのはやっぱりよくないことだよなと学んだ。
https://www.amazon.co.jp/世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ-発想力の鍛え方-クリスチャン・ステーディル-ebook/dp/B01GJ2DKPY
去年から僕の一つの考え方の根幹になっている、
センスを磨くために、色々な知識を吸収しようということに通じる部分を多く知ることができた一冊。
また、そのことに加えて、どういうときに発想は生まれやすいかという点にもこの本は言及している。
たとえば、限界ギリギリの集中力を生み出したときにクリエイティブになれるということが書いてある。
たしかに、締め切りギリギリや追い込まれているときは、
追い込まれて狭い範囲のことしか考えられないというわけでなく、
むしろ、いきいきとした発想が生まれることがある。
だから、発想に締め切りは欠かせない。
この本を通じて、本の中で紹介されていて、手軽に触れることができる、2つのデンマークのクリエイティブに触れた。
1つ目はAQUAというアーティスト。
AQUAのメンバーは「10曲のアルバムを作るのに110曲ぐらい曲を作らないといけない」ということを本の中で若いミュージシャンに語っている。AQUAの楽曲は唯一無二のボーカルとダンスミュージック系のサウンドで、クリエイティビティ溢れる音楽を生み出し、発売から20年前の曲でも古臭くなく、今聴いてもおもしろい。
2つ目は「ノーマ」というレストラン。
これは、「ノーマ東京世界一の三つ星レストラン」というドキュメンタリー映画になっていて、仕事に対する姿勢が映画で楽しめる。
一番感銘を受けたシーンは2つ。
1つ目は、食材集めで日本の山村に出向いた彼らが、
農場を歩いていたアリを食べるところ。
真顔で地面に歩いていたアリを拾って口に入れ、
テイスティングしている姿に度肝を抜かれた。
これこそクリエイティブを生み出す仕事だと。
何に可能性があるかわからないし、使わないかもしれないけど、
それを自分のものにしておくということは非常に大事だと思った。
もう1つは、オープン当日の朝。
高級レストランだから、さぞ余裕を持ったスケジュールで、
ホテルのフロントでエレガントにコーヒーでも飲みながら仲間と談笑し、さあ、そろそろ行くかというスタンスで仕事をしているのかと思いきや、
オープンギリギリまでメニューは変わるし、
当日の朝は驚くべきことに、厨房でレッドブルを片手に乾杯をして仕事をはじめているではないか。
僕は学生時代の締め切りギリギリまで仲間と何かを作って、
こんなん生産性あるのかよと思いながらエナジードリンクを飲んでパソコンのキーボードを打っていたあの頃を思い出し、
なんともノスタルジックになり、そういうときの仕事ってたしかに楽しいんだよなぁと思い出した。
本を通じて知ったノーマ東京の映画では、
クリエイティビティに必要な、
幅広さと締め切りが描かれていて、
何かを生み出す人にとっては共感のある映画ではないかと思った。
あとに出会った音楽や映画を含めて印象深い一冊。
「乙女なげやり」
https://www.amazon.co.jp/乙女なげやり-新潮文庫-三浦-しをん/dp/4101167575
「風が強く吹いている」や「船を編む」など、
個人的な大好きな小説を書いた、三浦しをんさん。
エッセイは「ちょっと何してんのよ!」
と、しをんさんが弟に紺パンを床に叩きつけられるシーンから始まるという、小説の三浦しをんさんしか知らない僕はとても驚くシーンからスタート。
弟のしをんさんに対する当たりがとても強く、
小説家も普通の人間なんだなあと思って読んでいた。
また、しをんさんが好きな、少女漫画やBLなど、文才のある人が趣味を熱く語ると本当におもしろい。
電車の中で大半を読んでいたが、
気を抜くと笑ってしまうので、お風呂で読むのがおススメ。
本を読んでいて声に出して笑うという体験は幸福極まりない。
2019年で、今のところ一番笑った本。
「凍った脳みそ」
https://www.amazon.co.jp/凍った脳みそ-後藤正文/dp/4909394141/ref=mp_s_a_1_1?_encoding=UTF8&imageClass=hi-res&keywords=凍った脳みそ&phoneCarrier=wifi&phoneType=iPhone&qid=1565227118&rd=1&s=gateway&sr=8-1&view=Touch9
どんな仕事も、結局は雑用だ。
社長だって雑用社長だし、
業務内容が違うだけで、結局誰しもやっていることは雑用だ。
一見華やかに見えるミュージシャンであってもそうなのではないか。
この本を読んでいるとそんなことを思う。
ASIAN KUNG FU GENERATIONという、
日本のインディロックの頂点に君臨するバンドのボーカルであっても、
アンプにカビは生えたり、配線のややこしさに手を焼かなければならないのだということに、親近感や虚しさを覚える。
すなわち、ゴッチのアンプにも僕のアンプと同じでカビが生えるんだなという親近感と、アジカンクラスであっても、
あんなにすばらしい音楽を作ってもアンプにカビ生えるのかよ、という虚しさだ。
ただ、この本を読んで聴くアジカンの新譜、「ホームタウン」はなんともありがたみが増す。
ゴッチがスタジオでの秘話を著書で記しているので、
人間離れしたすばらしい作品であったとしても、
スタートは人間の手によって一から作られていることを実感するので、「何もないところからこんなにすごいものが作れるってすごいなあ」と、感動が増す。
先日、フジロックフェスティバルのYoutubeでの配信の映像を見たが、
アジカンのステージは本当にかっこよくて、本の内容を思い出しながら、楽曲のありがたみをしみじみと感じながら雨の苗場の映像にかじりついていた。
「日本代表とMr.Children」
https://www.amazon.co.jp/日本代表とMr-Children-宇野維正/dp/4905349443/ref=mp_s_a_1_1?_encoding=UTF8&imageClass=hi-res&keywords=日本代表とmr.children&phoneCarrier=wifi&phoneType=iPhone&qid=1565227157&rd=1&s=gateway&sprefix=日本代表と&sr=8-1&view=Touch9
僕は今年26歳。
Jリーグは今年26シーズン目。
ミスチルはデビュー26年目。
中高大と必ず1人は日本代表好きな人、
ミスチルのことを好きな人が存在して、彼らと話をしていた。
他のエンタメで、必ずクラスに好きな人が1人はいるというコンテンツはないのではないか。強いて言えばジャニーズかな。
時系列で話がすすんでいくので、
このワールドカップは誰と見ていたかなあとか、
この歌あいつが歌ってたわとか、
日本代表とミスチルの歴史に合わせて、
ちょうど自分の人生を振り返る一冊になっていた。
今後、エンタメが細分化された中で、
これまで通り、日本代表は共通の話題で有り続けるのか、
CDが売れなくなって、国民みんなが歌えるポップ・ミュージックは現れるのか。
そして、そうした共通の話題、一体感が失われていく可能性がある新しい時代を生きていく自分はどうやって生きていくんだろうか。
平成を振り返りつつ、令和の自分を考える一冊。
下半期は、これまでのまた本を買いながら、
緊張感と責任感をもちながら本を読んでいきたい。
時期ごとに読んでいるテーマの本がバラバラだとペースも悪くなるので、ある程度統一感をもちながら本を読んでいきたいと思う。