【後編】2020年のふりかえり

新年あけましておめでとうございます。年をまたいでしまいました。


昨年はSTAY HOMEということもあり、本を読む時間が膨大にあったかと思いきや、読んだ本の冊数自体は去年よりも少なかった。読書メーターをによると、81冊。

 


基本、移動しているときに僕は本を読むので、移動自体が少なかった分、去年よりも30冊ぐらい少ない数字になったのかなと思う。

 


だが、読んだ本自体はこの先の人生に内容を生かしていきたいと思う本や、すでにこれまでも、読後に影響を受けてきた本自体は例年と同様とても充実していた気がする。

特に今年は自分と向き合う時間も長かったので、生き方を問い直すような本もすんなりとその深みまで没入していけた。

 


と、いうことで、今年に出版されたかどうかに関わらず、今年僕が初めて読んで印象に残った本をまとめたい。

 

 

地球星人

地球星人

 

魔法少女である主人公が、「恋愛はすばらしいこと、子どもをつくることはすばらしい」と「宣伝」をしている「地球星人」のなかで生きていく姿を描く。

読み終わってから、これをもとに誰かと話したくなって、すぐに人に貸した。

「結婚することや人を好きになること、子孫繁栄に貢献するかどうかは人の勝手であって、誰かに強要するようなことがあってはならないのではないか」という思想を僕は持っていて、特に好きでもない人と同棲をしていた主人公に共感しながら読んだ。

あくまで「どちらでもいい」と思っているだけで、それに縛られることはないし、「結婚や子を持っている人=全員幸せな人」と単純に思ったりしないというだけで、ネガティブな思いも別に持っていない。けれど、過度に美化することによって焦りや「結婚していて幸せですね」「子どもいなくて不幸ですね」みたいな極端な発想を助長することは許し難いので「ああ、こういう人もいるのか」みたいにこの本の主人公のような人が社会に認知される世の中になればいいなと思う。

でも、結局ラストは貸した人と解釈を話し合ったんだけれど「結局自滅みたいになっちゃったのかな」と思う。それも含めて、人の勝手だよと思う。

 

 

 

金哲彦のマラソン練習法がわかる本

金哲彦のマラソン練習法がわかる本

  • 作者:金 哲彦
  • 発売日: 2009/01/09
  • メディア: 単行本
 

今年は本当はフルマラソンに2本出る予定だったのに!クソッ!!

年始から3月末のマラソンに向けて準備をし、2月にプレ大会として臨んだ30kmの皇居ランではあと12km走っても余裕で4時間を切ることが出来るペースにまで仕上げていたのに、無念としか思えない。

なぜそこまでコンディションを持っていけたかというと、完全にこの本のおかげで、100日前から、3時間、4時間、5時間、それぞれの目標タイムに合わせて練習メニューが1日単位で組まれているので、それをもとに走りこむだけでぐんぐんコンディションが上がっていった。

内容的には「40分ジョグ」「5kmレースペース走」「坂ダッシュ7本」「休養」などが散りばめられていて、10日ぐらい続けると、ここでやめるのはもったいないという発想が生まれて、やめられなくなる。

また市民マラソン大会に出ることがあれば、またこの本を頼りにコンディション作りをしたい。

 

 

イギリスの階級社会を、日本出身の市民の視点から、リアルなできごとを通じて、肌で感じられる本。

この著者の息子さんが、鋭い視点で思ったことや疑問を両親に投げかけていて、それをはぐらかさず、説明したり議論している描写が印象的で、それがまた次の問いを生み、彼は学び続けられるんだろうなというところに僕は感心してしまった。

僕はどうやって説明して、どんな意見を子どもたちに伝えるかなあと思いながら読んだ。

 


苦しかったときの

就活のときに読みたかった。

でも、自己分析の仕方や資本主義の仕組みなどは社会人として知っておいて損はないという内容ばかりだった。

これを読んでから自分はこの本でいうところの「T型」であるな、と自分の見方が変わったし、今自分が勤めている会社に自分がいることはとてもラッキーなことなんじゃないかと、少しだけ身の回りの景色が変わった。

 

 

 

去年に比べて大きく食生活を変えた1年だった。この本だけでなく、食のことを自ら調べて、取る食材と取らない食材に気をつかうようになった。

特に、加工肉やポテトチップス、清涼飲料水はほとんど取らなくなって、鶏肉、玄米、全粒粉パン、全粒粉パスタなどを取る頻度は高くなった。

お弁当も今年からご飯ものメインだったけれど、サラダメインでおにぎりかサンドウィッチ少し持っていくみたいな食生活に変わった。この本は食べ方も含めて特にわかりやすく書いてあって、だいぶ体調は良くなったので、来年はアルコールとの付き合い方を考えたい。

 

 

 

全く茶道に興味を持ったことがなかったので、全く期待していなかったけれど、共感する部分がたくさんあって、読んでいてとても楽しかった。

人生にも季節があること、人と比べずに自分の茶道をすること、会いたい人には会わなければならないということ、学ぶときは自分を空っぽにすること。それに、あと戻りができない緊張の瞬間の連続は、過去も未来も忘れて集中でき、それは自分が自分に戻るためのかけがえのない行いだと感じた

これがおもしろかったので日日是好日の映画を見ると、亡くなった樹木希林さんがお茶の先生役で新年のお茶の挨拶で「毎年同じことができるって幸せなことね」とお話されていて、それが樹木希林さん本人の言葉のようで、とても感動した。

毎年していることを噛み締めたいなとこの作品に出会ってから思うようになった。

 

 

 

キーワードは「硬直マインドセット」と「しなやかマインドセット

子どもの頃は、才能というのは生まれつき決まっていると思っていたし、結果こそ自分の価値を測るものだと思っていた。

でも、大人になって、練習したり、学ぶことで成長したり、改善されたり、生まれつき決まっているものもあるだろうけど、下手くそでも昨日よりも成長したことが実感できるときが一番楽しく幸せに感じることがわかってきた。

そんな最近の気づきを、色んな事例をもとにこの本は紹介をしてくれていて、より成長することのおもしろさや成長していくことの大事さをもう一度自分のなかでまとめるきっかけになった。

 

 

 

ブレイディさんの文章が好きすぎて久々に本をお風呂場まで持っていってしまった。

2016年にBrexitが決まって、おいおい、と地球の反対側から心配していたようなモヤっとした気持ちを、愛しきおっさんたちの人生、生活のなかから「Brexitが決まって、こういうことになるんだよ」と親しみやすく教えてもらえた。

なるようにしかならないんだという、数奇な運命にいたたまれない気持ちになったり、おっさんたちの愛おしさに笑いもあったり、言葉だけでしか知らなかった階級社会やイギリス史、福祉政策の空気感に少しだけ、日本にいながら触れることができたような気がする。

テレビのニュースや新書のデータだけでなく、やっぱり政治・経済はそこに生きている人たちの心なしには学んだことにはならないんだなと実感した。

 

 

 

流浪の月

流浪の月

 

少女誘拐事件の加害者と被害者の事件の最中とその後の人生を描いた、2020年の本屋大賞受賞作。

どうしようもないくらいに絶望感を覚えながら、それでも読み進めた。最後に本当の最悪は免れたように思ったのが救いだったのかもしれないけれど、これからまた彼らの人生は続いていく。

自分や社会が疑うことなくもっている善の意識が人の精神を蝕むまでに作用してしまう怖さを感じた。じゃあやっぱり人と距離を置くのがいいのかと思えば、結局、最後は人に寄り添って終わる。遠いような話だけど、身の回りでも小さなスケールでこういうことは起こってるのかもしれない。

やっぱりこれも読み終わって、人にシェアしたくなって、本を貸した。そして、貸した人も、読んでみて、そのすばらしさにわざわざご自身でも買ってくれたそう。

きっと全国の書店員さんたちの「これを読んでほしい」という思いが重なって、本屋大賞になったのかと思った。読み終わると、「おもしろいから読んで」「泣けるから読んで」とも違う「とにかくあなたにも読んでほしい」という気持ちになるので、書店員さんたちの思いが、読むと少しわかったんじゃないかなと思う。

 

 

 

全196ヵ国おうちで作れる世界のレシピ

全196ヵ国おうちで作れる世界のレシピ

 

間違いなく、どの本よりも、この本を開いた。

日本以外の世界のことを知ることが大好きで、かつ、今年は家にいる時間も長く、たくさん自炊をしたので、196カ国の料理のレシピが載っているこの本は2020年、間違いなく僕の宝物だった。

この本に載っている50ぐらいのレシピはもう家で試してみた。

週末に予定がなくても、週末にどこの国の料理を作ってみようかと思い、食材を買いに行き始めるところから幸せだった。

特に何回も作ったのは、1ヶ月滞在した思い出のフィジーのマリネやカメルーン白身魚のトマト煮込み、スパイスやトマト缶を使ったカレー、ひき肉で作るクロアチアのソーセージ、さつまいもとバナナをココナッツで煮込むセーシェル料理もよく作った。

間違いなくおうち時間の楽しみを僕にくれて、緊急事態宣言であっても、行ったことのない国の料理をおいしく作るというロマンティックなチャレンジを課してくれたこの本には感謝しかない。

特に最近は家にスパイスやバルサミコ酢が並び、残り物を見るだけで「今晩はマダガスカルにするか」「明日はナウルだな」など、世界の食文化が順調に自分にインプットされている。

パーティやおつまみ、家庭料理、さまざまなバリエーションの料理が載っているので、レシピに困ったときに活躍するし、何か刺激的な味が好きな人や海外旅行が趣味の人にとっても楽しい一冊だと思う。

 

以上10冊。これ以外でも、2020年は小説を近年で一番読めたと思うので、2021年は雑誌やレシピ本などをもっと読みたいと思う。

2021年もたくさん読むぞーーー!

 

Hayato