サマソニ大阪に行ってみた

8月にサマソニ大阪へ行きました。


今年はもう本当に大変なサマソニでした。


去年はサマソニ東京に行きましたが、チケットは当日に幕張メッセの近くのミニストップで買った経験から、余裕をかましてチケットの発売日を迎えていました。すると、数日後にはSOLD OUT。

ものの見事にサマソニ東京不参加が決定。

当時はオリンピックのチケットをどうしようかということを考えていたため、サマソニに気が回っていなかったという痛恨のミス。

 


そこで、一度は仕方ないとあきらめていたが、

行く気満々で予習をしていたので、ちょくちょく好きなバンドができ始めていたので、諦めきれず、8月17日(土)のサマソニ東京と同じメンバーが出演するサマソニ大阪の8月16日(金)に参加を決意。

 


もともとはサマソニ東京に僕含め3人で行こうという話にはなっていたが、今回のサマソニ東京チケット売り切れ事件を機に分裂。

I氏は新潟のフジロックへ、O氏は北海道のライジングサンロックフェスティバルへと各々が散り、僕は一人残され、「こうなったら一人でも行ってやるわい。と、初の一人での大型フェス参加を決心。

 


もともとサマソニは、去年もそうだが、新しい音楽に巡り合う場所として捉えているところがあったので、1人で行っても十分楽しめるという見立てはあった。僕も音楽ライブはもちろん、サッカー観戦、カラオケ、美術館、海外旅行など、数多くの娯楽を1人でこなしたので、サマソニも問題ないだろうという発想でいた。

 

 

 

8月15日(木)

サマソニ前日。朝から「北の果ての小さな村で」という映画を1本と、21_21 Design Sightの「虫展」という展示をひとめぐりした後、自宅へ帰りそのまま横浜のY−CATから夜行バスで大阪へ。

 


この日は台風の影響で関西方面は天気が荒れて、開催自体が心配されていたが、

昼間に映画館のある横浜から六本木に移動するタイミングで、サマソニのHP上で「現時点では通常通り開催の予定」「ところどころ復旧しながらの開催となるが、レアな光景として見ておいてください」という旨のアナウンスが流れる。

まあ設営の遅れはしょうがないよね。と思って夜になり明日の準備。

 


次の日の準備として、会場でSuperorganismのTシャツでも買おうかなと思っていたので、最終的には、到着してすぐに「捨ててもいい」Tシャツを着て、現地に向かうという判断を下す。

小さなリュックサックひとつを持っていき、それをシャトルバス発着の駅に預けることに。貴重品、駅に戻ってからの着替えを入れて、会場へはランニングのときに腕に巻く小さなケースにiPhoneSuicaと千円札1枚とシャトルバスチケットという手ぶら状態で現地へ行くというスタンスをとることに。

「Tシャツは着いて買ったら捨てて、タオルは買おう」

しかし、この決定がのちに大きな迷いを生むことになる。

 


15日の23時ごろ、深夜バスで横浜を出発し、午前7時になんばに到着。

なんばは僕がアジアで行った街で1、2を争うお気に入りの街なので、新喜劇の周りを20分ほど観光。当然、ほとんどのお店は空いていないので、そそくさと地下鉄に乗り、地下鉄で「コスモスクエア駅」まで移動。この移動は25分ほど。

 


コスモスクエアには午前7時45分ごろに到着。そこから会場までのシャトルバスを待つことになるが、シャトルバスは午前8時半から運行が始まっていたので、そこから列に1時間ほど並ぶことに。

当然手ぶらなのでいつもこういうときは本を読むが、何もない。

ここで初めて1人フェスの洗礼を受ける。

旅先などであればだいたい1人で来ている旅人がいる場合があって、お話することもあるんだけど、フェスに1人で来ている人はやっぱりまだ少ない。この1時間の行列は頭の中で考え事をして過ぎていった。

 


列が動いて、シャトルバスに乗り込むと、

ヤバイTシャツ屋さんの出演キャンセルという情報が他の乗客から聞こえる。

 


僕もTwitterで調べると、会場設営が間に合わず、演奏時間の確保ができないためのキャンセルということが原因だったということ。

なるほど、設営遅れているんだなとそのときに把握した。

そのあとのサマソニで僕が経験することをまだ僕はそのときは知らなかった。

 


そして、シャトルバスはユニバーサルスタジオジャパンに行く道と同じ方向に進むため、渋滞。

僕は移動の疲れで途中で寝て、起きたら9時45分ぐらい。1時間ほどコスモスクエアから舞洲スポーツアイランドまで時間を要した。

 


会場に着いて、まずはTシャツを買わなければ。

ありの行列の最高尾に並ぶが、グッズの列は2時間待ちと情報が入った。

10時から並んで、ナオト・インティライミは悔しいけど諦めて、12時以降のステージから見られればいいやという方針を一度決定。

そのまま列にステイ。

30分に1回数十m進む列に、嫌な予感がし始める。

 


列に1時間ほど並んだあたりで、様子を見に行った近くの人が「そもそもまだ売り始めていない」ということを仲間に話していて、そこで今一度Twitterで情報収集。列が動いている雰囲気はなく、

このまま並んでいると何時になるかわからない。

当然、いつもの自分であれば列を離れる選択をするのにそれほど難しい選択は迫られなかったであろう。

しかし、その日着ていたTシャツはグッズを購入して着替えたら「捨ててもいい」Tシャツである。

「捨ててもいい」Tシャツには蛍光イエローの生地に白いフォントで

「風の音が聴こえる」とプリントされている。

僕はマラソンの大会に年に1回か2回出場する。

そのようなイベントではTシャツを参加賞でもらうこともある。

きっとそのときにもらったのだろうTシャツを着てきてしまった。

 


アーティストがそれを見たらどう思うだろう。

「こいつは俺の歌より風の音を聞いてるんだな」

と歌いながらテンションが下がるに違いない。

 


若干周りの客の目も気になる。

「こいつの目当てのアーティスト『風』かよw」

「タイムテーブルに『風』っていたっけ?w」

サマソニに厨二がいるわw」

など、声なき声が聞こえた。

 


列を離れようにも、自分の身なりが気になり、Tシャツを買わないという判断には至らない。

 


そこで自問自答をした。

「俺は大阪までTシャツを買いに来たのか?

それとも音楽を味わいに来たのか?」

 


心の中のリトル・ホンダに聴くと、

「お前は気にせず音楽を聴け。ミランの10番を背負え」

 


と即答があったので、グッズの列を抜け、

午前11時25分。列を抜け、フードゾーンに行き、まずは何も食べても飲んでもいない自分に栄養を与え、音楽モードに突入することに。

 


サマソニ大阪では「電子マネー全面導入」というアナウンスがされていたため、コスモスクエアに財布などは預け、小さな腕のケースに1000円札一枚を準備し、あとはSuicaとLINE Payで対応しようと思っていたが、屋台で「LINE Payで払えますか?」と聞くと、現金のみです。という対応がほとんどだった。

僕も「じゃあ、いいです〜」と言ってオダギリジョーに追われながら店を後にする対応を繰り返した。

主催者が出しているであろうRed Bullのサーバーですら電子マネー決済ができず、さあここから切り替えてという段階で、出鼻をくじかれた。

 


そして、なんとかSuicaに対応していた唐揚げ丼の屋台で、

これ、俺でも作れんじゃね?というクオリティの唐揚げ丼を食べ、ステージへ。

 


全く見る予定のなかったErectric Pyramidのステージをまずはフルで見ることに。

予備知識はなかったが、Erectricって名前付いてるしまあ間違いないだろうという浅い思考からこのステージを選んだ。

実際、音楽的には特にErectricを感じる要素はなく、インディー・ロックのようなバンドだった。

フェスが終わって1ヶ月ぐらいだが、あまり今も聴いている曲はない。

 


次は14時25分にスタート予定のZebrahead、移動をしよう。

と、思った矢先、TwitterZebrahead出演キャンセルの情報が入る。

 


会場はアリーナのSonic Stage、スタジアム会場のMountain Stage、そして海辺の広大な芝生を用いたOCEAN STAGE、アリーナとスタジアムの間の芝生の一番小さなMassive Stageの4つから成るが、この段階でOcean Stage、Mountain Stageは開場すらされておらず、2ステージだけで進行しているという状況だった。

 

 

 

 

 


Zebraheadは楽しみにしていたので、これはかなり残念。

周りでもスタッフに「返金制度ないん?」と詰め寄るお客さんもいた。

 


結局、僕はZebrahead難民となり、最近メディアで名前を聞いていた「緑黄色社会」のステージを見て、2曲ぐらい聞いてから、「Indigo la end」のステージへ移動。

みんな考えていることは同じだったので、このステージはスタンドにも人が入り、おそらく2、3000人ぐらいはこのステージを見ていたと思う。

 


その後、フェスでLINE Payが使えないことを知り、

近隣のセブンイレブンでビールと大盛りナポリタンを買い、

アリーナ席の近くで食す。

食後、インフォメーション近くのタイムテーブルを見に行くと、

「OCEAN STAGE、開場しました!」の赤いマジックの文字見られる。この日一番テンションが上がる。

 

 

 


OCEAN STAGEに着いたのは15時。

まだこの日はこの時点で不完全燃焼のライブを見てきたため、

少しでも前に行って盛り上がってやろうと意気込み、ステージから20mぐらいの距離で待機。

 


そして、15時15分ごろ、会場にアナウンスが。

「皆さん、サマソニたのしんでいますかー?!」

というコールが。

 


当然、OCEAN STAGEはなにもライブが行われていないので、

10000人中17人ぐらいが「YEAH!」と無邪気な盛り上がりでレスポンスを返す。

 


続いて、「サマソニ、OCEAN STAGEは、RANCIDのライブからスタートします!!」

というアナウンスが流れる。

これには僕含め7000人ぐらいが「YEAH!」「HOOO!!!」とレスポンスを返す。

やっとフェスが始まる。

 


時計の針は15時30分…まだかなぁ。

時計の針は15時45分…足疲れてきたなぁ。眠いなぁ。座って寝よう。

時計の針は16時00分…ステージのライトが本来あるべき位置に持ち上がった。

そして、「さあ準備整いました!Rancidのライブが始まります!」

ここで一度歓声が上がるが、

 


「え?サウンドチェックしてなくね?ぶっつけでやるの?アメリカのバンドすげえな」

 


と、思ったのも、束の間、「準備」というのはサウンドチェックの準備が整っただけで、それからサウンドチェックがスタートした。

 


珍しいアナウンスもあるもんだなぁ。

と思いつつ、

「さっきのアナウンスいらなくね?」

「はよせえや」

という声が聞こえてきた。

よかった、僕の感覚はみんなと一緒だ。

 


結局、16時過ぎまでサウンドチェックが続き、16時15分ごろにRancid登場。

 


「We Are Rancid!!」と叫んで、会場のボルテージが上がる。

待っていた時間が長かった分、怒りの感情も混じったようなテンションでライブは盛り上がりを見せる。

 


個人的にはパンクが好きなのにこれまで海外のパンクバンドを見たことがなかったので、今回は本当に会場間に合ってくれてよかったなと思わずにはいられなかった。

フェスから数週間経った今でも、この日に聞いた曲で未だにもっともヘビロテで聞いている楽曲は、彼らの「Ruby Soho」だ。

 

 

 

Rancidのライブの中盤から頭によぎっていたことがある。

それは、本来Rancidが終わってから見る予定だったCOINのライブが時間的に重なってしまい、見られなくなる恐れだ。

 


結局、Rancidは17時前に終わったので、

そこからステージを抜けるのに10分ぐらい人混みに紛れ、

ステージを出てからはダッシュでアリーナのSONIC STAGEに向かった。

 


COINはサマソニ1週間前ぐらいになってハマりだしたアーティストだ。

楽曲がポップでおしゃれ、聴きやすいので、楽しみにしていた。

 


結局、今回大阪まで遠征した大きな理由の一つであるSuperorganismのライブがあったので、すぐに移動しなければならないため、

2曲だけ入り口付近で立ち見で見てからSuperorganismへ。

 


これからライブが始まるまで4分ぐらいあるなということを見計らい、ステージ脇でビールを買って、そのままビールを手に前線へ。

 


彼らの登場シーンを文章に表すだけの語彙を持ち合わせていないが、

非常にサイケデリックでアーティスティックで刺激的なオープニングだった、と、思う。

 


彼らのことは去年の秋にGoogle PIXELのCMで流れた「Something For Your M.I.N.D.」という曲がきっかけで、なんだこのかっこいい曲は!と思い、その時期かなり聴き込んでいた。

この日で一番聴き込んでいたアーティストだったので、ライブ自体は本当に楽しかったし、ボーカル、oronoのクレイジーさも肌で感じることができた。この日のライブでは、

「オーストラリアでは靴にビールを入れて飲む習慣があって、日本は厳しい国なのでそれをやったら逮捕されちゃうから、今から、靴に水を入れて飲みます。」

という唐突なMCが入り、唐突に靴に水を入れ、飲み干す。

唐突にもかかわらず、客も盛り上がって、そのまま次の曲へ。

 


14歳で日本を出て世界をまたにかけるアーティストになっている人はやっぱり文脈とか関係なく吹っ切れてるなと思った瞬間だ。

 


ひるがえって、自分は文脈を気にするタイプなので、このタイミングでこれはないだろうとか、この人相手にこれはさすがに唐突だろうと文脈でブレーキをかけることが多いが、自分が良かれと思ったらクレイジーなことでもやっていくべきだよなと学んだライブだった。

 


大満足のSuperorganismを見たらもう日は暮れている時間帯。

スタジアムに行ってBABYMETALを待つ。

 


存在は知っていたが、曲を全く知らない状態でライブを見たが、

演奏がかっこいいわ、曲はキャッチーだわで、おもしろいもの発見したなぁというライブに。

特に、Elevater Girlという曲が好み。

 


BABYMETALの途中、40分ほどライブを見たぐらいになって、

Catfish and The Bottlemenへ移動。

 


Catfish and The BottlemenはSuperorganismと同じぐらい楽しみにしていて、今回の大阪行きの大きな要素になっていた。

 


しかし、開演そのものが20時20分開始というかなり遅めのスタートだったので、

夜行バスに間に合わせるために最後までは聞けないだろうなあという状況。

帰りの電車は22時27分がリミット。

3曲聴いてシャトルバスへ急いで向かう。

シャトルバスは乗るまでに時間がかかるだろうという見込みと、

行きで1時間かかったことも踏まえて、20時30分にはシャトルバスの列に並ぶ。

 


結局、列はそこまで長くないので、21時00分には自分が乗り込んだバスがコスモスクエアに向かった。

 


驚いたのは、帰りは15分ほどでコスモスクエアについたということ。

結局、コスモスクエアから梅田に移動し、梅田のローソンのイートインでサラダを食べ、1時間ほど粘り、バスで横浜へ。

 


朝から忙しない大阪強行サマソニの1日が終わった。

 


「これだけキャンセル出たなら中止でよかったんじゃないか?」

というツイートも開催中見られたし、僕も回っている間はたしかになあと思っていたが、

振り返ってみれば、Rancid、Superorganism、Catfish and The BottlemenやCOINといった僕が楽しみにしていたアーティストはばっちり見られたし、1日にこれだけのアーティストが見られるのは貴重な機会であることは間違いない。

台風がたくさん来る日本で「ふつうに」夏フェスの1日が終わるということは思った以上にありがたいことであり、フェスをやるとなると何もないところにステージを設営したり、色々なお店を建てたりと、普段垣間見ることのない「手間」を感じられたのも個人的にはよかったと思う。

 


1人の客としての自分は「まあ、こういう年もあるよね」っていうサマソニでした。

お目当てのライブが見られななかった人の「金返せ」っていう気持ちもわからなくはないですが。

 


来年は東京オリンピックの影響でサマソニはありませんが、再来年、今度は東京でサマソニに遊びに行けたらテンションは上がるだろうなと思うこの頃です。

 

Hayato