神奈川県には来ないでください。代わりに -緊急事態宣言40日目-


「神奈川県には来ないでください!」

ゴールデンウィークにラジオから流れる神奈川県の黒岩知事のアナウンスに衝撃を受けて、「まじでSFの世界だわ」と思って顔をしかめていた。

神奈川の観光名所を連ねたあとに「神奈川県には来ないでください!」と言われるのはなかなか貴重でシュールだった。

39県で宣言解除して初めて迎えた日曜日に湘南で交通量が増えたという記事もあった。車で移動してサーフィンするぐらいならジョギングと変わらないよなあと思いながらもどかしい思いを抱えている。

 

 

そんな、ちょっと世の中が緩んだ日曜日。先日、The  ZombiesのOdessay & Oracleを聴いて、アルバム一枚をフルで聴くことを久しくしていなかったけれど、つくづくおもしろいなあと思い、次は曲をつまみ食いでしか聴いてこなかったアジカンのアルバムを一枚聴いてみようということで、親友Kに「サーフ ブンガク カマクラ」をレコメンドしてもらった。

 

 

サーフ ブンガク カマクラ

サーフ ブンガク カマクラ

 

 


江ノ電の駅名がそのまま全ての曲名に名付けられているというアルバムで、江ノ電に乗っている情景が思い浮かぶというアルバムらしい。

 


実際、アルバム自体は35分ぐらいの長さなので、聴きやすくて、一曲一曲の楽しみと、アルバムの流れで映えてくる曲の良さもあって、歌詞を見ながら、夢中になりながら、アルバム一枚を聴き切った。

 


曲単位で好きな曲は、「鵠沼サーフ」かなあ。アジカンの「元気65%」ぐらいの、テンション上げ過ぎないロックチューンはとても聴きやすくて、テンションがハマる場面が多いので、聴きたくなることが多い。

 


曲名に江ノ電の駅名が全て付けられているものの、曲ごとのテンションはそれぞれ違い、青い空と海を見せられたり、好きな人の横顔に会わせてくれたり、夕暮れのノスタルジーを思わせてくれたり、江ノ電周辺をアジカンとデートしているような気持ちになる。

 


全10曲入りの9曲目は「由比ヶ浜カイト」

圧倒的にクライマックスの感動が芽生えてくる。盛り上がりのなかの寂しさを感じて、9曲目だけど、最後の一曲みたいに感じていた。

 


それでも、10曲目の「鎌倉グッドバイ」を聴いて、「ああ、これがエンドロールなんだなぁ」と感じた。夜の鎌倉で、手を振り、非日常と日常の狭間を噛み締めるようにそれぞれの方向に歩いていく人たちの姿が浮かんできた。

誰かと会っていて、別れて1人になった帰り道の切なさを感じる最後の1曲だった。

 


江ノ島周辺でたくさんのすてきな景色を見る1日を過ごして、また会いたいと願う9曲目が本編のクライマックスで、1人になった10曲目はエンドロールような聴こえ方だった。

 


神奈川に遊びに行けなくても、アジカンと湘南デートをするという胸キュン体験だったら、おうちでもできるんだから、黒岩知事には「神奈川県には来ないでください。代わりに『サーフ ブンガク カマクラ』でアジカンとの湘南デートを楽しみ、神奈川へのラブやエネルギーを溜めておいてください」って言えばいいんじゃないっすか?ということを提案したい。

 


Hayato