「J2 最終節 横浜FC VS 愛媛FC」をニッパツ三ツ沢球技場で観てみた


1人のサッカーファンとして涙が出た。

 


横浜FC VS 愛媛FCのJ2最終節。

横浜FCは13年ぶりのJ1昇格がかかる一戦。

 

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先月、横浜F・マリノス VS 湘南ベルマーレでの試合を一緒に観て、その試合が初めての三ツ沢でのサッカー観戦だった親友I氏も、陸上トラックがなく、サッカー専用の三ツ沢の臨場感に大満足し、また観たいなと言い合っていたので、チケットを売り出していたこの試合をチョイス。

ちょうど、今年昇格争いが熱かったJ2で、最後に何かこの試合で決まるかもねということで、3週間ぐらい前からこの試合を楽しみに待っていた。

 


結局、前節終了の段階で、横浜FCは勝つか引き分けで昇格決定、負ければ他会場次第という状況で最終節を迎え、チケットはソールドアウト。

12000人が三ツ沢に集結した。

 


試合は戦前の予想通り、

横浜FCも愛媛もボールを持てば後ろからパスを繋いで好機をうかがい、奪われたらブロックを形成し、ゾーンで守るという緊張感のある時間が続いた。

 


両チームの直近3試合との違いは横浜FCはベンチにカズが入っていることぐらいで、あまり戦術的にも変わったことはしてこなかったと思う。

 


愛媛は変わったことといえば、

前節U−22に呼ばれていた長沼の復帰と、山瀬功治の先発出場あたりか。

スタメンも何人か変わっていたかなあ。

戦術的には、俊輔がボールを持った瞬間に山瀬がダッシュで潰しにかかるというこの日に合わせた戦術が見られた。

俊輔がボランチの位置に入るということは、

前向きでボールを持たれるだけでワールドクラスのパスが出てくる可能性があったので、その対策で愛媛は5−4−1の4がアンバランスになったとしても俊輔に前を向かせないという意図が見られた。

山瀬はハーフより下で俊輔がボールを受けてもプレスに行く姿勢を見せていたので、これは90分の出場で計算されてないなと思っていたが、しっかりフル出場。

実際、俊輔のシュートにつながるパスはほとんどなかったと思うので、このプレスの効果はあったと僕は見ている。胸が熱くなるハードワークだった。

 


30分過ぎまでスコアレスの時間帯が続いたが、引き分けでも昇格が決まるため、会場の雰囲気も、ピッチの雰囲気も、そこまで切迫しているような感じはなかったように感じた。

 


よく、元日本代表の岩政大樹氏は「力が拮抗している場合はディテールで決まる」と、言及されているが、

まさにこの日も、コーナーキックからのDF側のファールで得たPKでの横浜FCの先制だった。

この日の愛媛FCは水戸戦で見られたようなビルドアップのミスから決定機を招いてしまうこともなく、

かつ、自分たちのビルドアップから相手のペナルティエリア近くまで

ボールを運ぶ場面もあったので、

過去3戦より強い印象を持ったが、

横浜FCは先制すれば強固な4−4−2のゾーンディフェンスでどっしり構えて相手のミスを見逃さず、

追加点を取るだろうという見方だった。

「プレスのスイッチ早くない?」と思う場面が1、2回あったが、それがハマってマイボールにすることもあったので、

「どこからプレスかけるのが正解かわからんなー」と思いながら観ていた。

 


後半は愛媛が前節で失点の起点を作られた愛媛の左サイドから1点を追加し、昇格をたぐり寄せて、ラスト20分ぐらいまでは危なげなく試合を進めた。

 


だが、この試合は愛媛の10番、神谷優太が1対1や最終ラインまでときに下りてのビルドアップ参加など、

圧倒的な存在感でチャンスメイクを幾度と行った。

長沼からのヘッドでクロスバーに当てるシーンなどもあり、

横浜FCのファンとしてはドキドキする時間が続いた。

 


そして、時計が40分を2分ほど過ぎたところで、

アップゾーンからユニフォーム姿の選手がベンチの前を横切った。

ベンチと反対のバックスタンドからだったので一瞬誰かわからなかったが、

スタジアムの盛り上がり方で、

周りの席の人も「カズだ!」「カズーー!!」と、 カズの投入を認識した。

 


僕らも「おぉー!来たぞ!」と、

いくつかピンチを乗り越えて、

試合を締めくくるタイミングでの交代に、とても興奮した。

 


試合時間はアディショナルタイム入れて5分弱だったので、

相手陣内でのプレスや味方のペナルティエリアでの守備がこの日の内容で、

最後に右サイド深くまで味方がボールを持ったところで笛が鳴り、2-0でゲームは終わった。

ボールタッチはなかったが、それでも、スタジアム全体の雰囲気ががらりと変わる交代で、

その雰囲気が最後にもう一度選手たちのギアを入れ、試合を締め括らせたと思う。

 


もし、僕がスタッツだけで見たら、

いわゆる「思い出出場かな」と思ったかもしれないが、

このシチュエーションで出てきたことで、存在そのもので試合を締めたように僕は感じた。ある意味、単なる粋な采配でなく、結果として、彼らの勝利につながる采配だったのかなと思う。

 

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横浜FCは13年ぶりの昇格ということで、13年前もこの試合も両方選手として参加しているということがどれほどすごいことかと感心する。

途中で引退したらもちろん出られないし、この日に怪我やコンディション不良などがあったら出られない。

常に進化し続けたことでチャンスが巡ってきたことを思うと、

サッカーに向き合う姿勢への敬意を抱かずにはいられなかった。

 

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重いものがかかった試合で、緊張感があり、三ツ沢の近さの臨場感も加わり、それぞれのチームが自分たちのカラーでぶつかりあった、おもしろいゲームが見られた。

 

 


ふらっと行って見て帰ってくるつもりでいたので、

まさか想像以上に感動があり、

やっぱりサッカーっていいなぁと思った1日だった。


Hayato