映画「生理ちゃん」見てみた

いろいろと予想外の映画だった。

 


ヒューマンとラストシネマ渋谷で、

「生理ちゃん」を見てきた。

 

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春先にリリースがあったthe peggiesのアルバムの「する」という曲が主題歌になっていて、この映画を知ったのもこの曲がきっかけだ。

 


「女性の生理をポップに描く」というコンセプトの漫画、

「生理ちゃん」が原作だ。

 


先月、予習のために漫画の生理ちゃんを買って備えていた。

「生理ちゃん」とは何かというと、登場人物の女性のもとに毎月現れて、注射針をもち、さあ、今月も始めるよという感じで生理を始め、 終わったら女性のもとを去る。

そして、生理ちゃんは会話ができるので、女性を守ったり、

勇気付ける発言をする。

漫画はストーリーがいくつか展開されていて、

女性の生理に対して理解がない、前時代的な上司が、

「生理パンチ」を喰らったり、

高校生の男女が身体だけ入れ替わって、

それぞれの生理と性欲を体験するというものもあり、

色んな立場の女性に現れる生理ちゃんとのストーリーを通して、

考えさせられたり、笑ったり、グッときたり。

 


200ページぐらいある漫画だが、品川-横浜間の電車内で読み終わった。そのくらいスピーディで、かつページを次に進めたくなる指が止まらない興味深さだった。

 


映画も、漫画に出てきたストーリーをもとに、

登場人物の女性に生理ちゃんがやってくる。

 


生理ちゃんのキャラクター自体がポップでシュールなので、

生理ちゃんが登場すると映画館では笑いが起きる。

深刻に、眉間にシワを寄せて考えましょうという映画でもないように感じた。

かといって、お下品な笑いというものもなかったように思う。

男子には「性欲くん」「童貞くん」というキャラクターがついてくるが、これもポップでシュール。「性欲くん」は間を置きながら低音ボイスでAVのジャンルを羅列していくが、ポップでシュールなキャラなので、あんまり下品な感じになってはいない。

 


結局、笑いもありつつ、「男子にはわからない体の痛み」を「側から見てもわからない」タイミングで女性は経験しているのだということを生理ちゃんを通して、「ああ、これまでの自分は目を逸らしすぎていたのではないかなあ」と胸を突かれるような感覚に陥りながらも、

映画の最後は予想外に、涙のクライマックスを迎えて、僕も映画館で涙を流した。

 


何か意識が変わるときは、それがポジティブなものでも、

人間は拒否反応を示すものだと僕は思う。

 


Perfumeの音楽を初めて聴いたときとか、

アドラー心理学の本を初めて読んだときとか、

LGBTという概念を学び始めたときとか、

最初は今までの常識を覆えされるのを恐れて、

スーッとすんなり新しいことを学んだり取り入れたりするのは難しかったように思う。

でも、それは嫌だから胸を突かれる感覚になるのでなく、

今までの自分と考えを変える準備だと思う。

 


実際、新しい考え方やこれまで自分が知らなかった概念、これまでの自分の常識を覆す概念も、

時間をかけてうまく付き合っていけるようになっている。

 


今までの自分の常識よりもっと、意識を高めるべきだという感じで、

胸を突かれた気がしたけど、きっとこれは拒否反応でなく、

これからうまくアップデートしていける感覚だと思った。

 

ぐさりとこれまでの自分を省みることを余儀なくされつつ、

最後は前向きに終わるという日曜日の朝の素敵な映画体験だった。


Hayato